D70と聞いたら、普通の人は何を思い浮かべるのだろう。Googleでひいたら、ニコンのデジカメしかヒットしないのだが、これは「ディーナナマル」と読む。
それでは、「でーななまる」と読んだら…今も日本の多くの家庭を支える、国産のデジタル加入者系交換機の名前になるのだった。調べてみるとデビューは1983年。
実に25歳なのだ。NTTはこれを2015年前後に廃止するそうである。アナログのC400型クロスバ交換機のデビューが1966年、廃止が1997年であるからD70だけ特別長いわけではないけれど、あと7年も現役とは、老兵にはきついことだろう。
ちなみにD70の後継であるMHNは1994年デビューだが、いまだに「新ノード」と呼ばれる。こいつの廃止時期は未定だ。入手困難なLSIは再設計して延命を図っているとか。D70のように30年以上使うつもりなのかもしれない。それでも、もってあと15,6年。
そのころには、「交換機」なんて死語になるんだなぁ。昔は「ルータって何ですか」「交換機みたいなものですよ」「へー」なんて会話をしていたのに。
僕は交換機には研修のわずかな期間しか触れたことがないけれど、幸運なことにC400の巻き取り工事に立ち会った経験がある。半田とリレーグリスの匂いが立ち込める交換機室の、部屋いっぱいに鳴り響いていたベースクロック同期のリレーの音が、「C400停止」「C400停止ヨシ」の合図とともにバシューンと消えて、訪れた静寂と、作業員たちの拍手。もう16年も前のことだけど、よく覚えている。
D70の引退は、シャットダウンコマンドの入力で実にあっさりと終わるのだろうけど、一つ一つ、古いものは消えていく運命にあるんだなぁ。さびしいものだ。
なんで急にこんな話題になったかというと、こんな図を見かけたから。
連載としては古いねただったかも。失礼。