ちょっと仕事がらみで、LTEの電波の具合を調べる必要がありまして、スマホに計測アプリを入れました。Network Cell Infoというアプリで、wilysisという会社が開発しています。サイトはこちら。
このアプリ、非常に見栄えが良いのと機能が多いのとで、見ているだけで楽しくなってしまいます。プロ版もありますが、無料版(Lite)でも普通の人には十分でしょう。
特に、基地局を Google Map 上に表示して、自分がどの基地局のお世話になっているかがわかる画面(MAPタブ)を見ていると、携帯網ってすごいなぁと感心すること間違いなしです。
それでは、主にゲージ画面(GAUGEタブ)の内容について、眺めてまいりましょう。
RSRP
グラフ中央の一番大きい数字と、針で表示しているのがRSRP(Reference Signal Received Power)で、基本的な電波の強さになります。グラフの最小値が -140dBm、最大値が -44dBmです。-98dBm以上であれば緑のゲージに入ります。
RSRPは、無線区間のトラフィックに関係なく、自分と基地局の位置関係で決まってくる値のようです。この数値がどれくらい強ければ良いのか?というのは、サイトによって諸説あるようですが、例えばこちらのサイトでは -80dBm以上を excellent としています。
別のサイトでは -84dBm以上を excellent としているところもありました。ざっくり考えて、針が右半分まで触れていれば良好という風に考えればよいようです。
逆に、弱いほうはどこまで粘るか?というのは機種にもよるのかもしれませんが、私が持っている AQUOS SH-M08では -100dBm より数値が小さくても切れるようなことはありません。現場の工事屋さんに聞いたところでは、-115dBm 以下を NG と考えているとのことでした。
ちょっと脱線しますが、RAWのタブを選ぶと dBm を Power に変換した値も見ることができます。-80dBm が 10pW、-100dBm = 0.1pW = 100fW、-103dBm だと約 50fW、キャプチャにあるように -106dBm なら約 25fW という具合です。だから何だということもないですが参考まで。
RSRQ
では、グラフの右下の値は何でしょうか。RSRQ(Reference Signal Received Quality)というそうで、基地局の混雑具合(と、ノイズや干渉具合)の目安と考えればよいようです。最小値は -19.5dB、最大値は -3dB(アンテナ1本の場合)になります。
まったく干渉がなく、データ通信も行われていない基地局だと最大値になるとのこと。逆に、多くの端末が活発にデータ通信をしているような、混雑した基地局だと小さくなりますし、「なんか遅いな」という感覚につながります。
上のサイトでは -10dB以上を良好としていますが、-5dB以上としているサイトもありました。Good とか Poor とかいうのは感覚的なものですが、とりあえず、一桁の数字なら良し、-10dB以下だとほぼ満員、-13dB以下だとラッシュアワー、というように読めばよいと理解しました。
(参考サイトはこちら)
RSSNR
グラフの左下にある数字は Reference Signal Signal Noise Ratio、要するに信号とノイズの比です。S/N比とも。本当は干渉も入れて SINR というのが正しいそうですが、こちらの数字も大きいほうが Good。teltonikaのサイトでは 20dB以上を良好としています。
でも、そんなに良い値って、あまり見かけません。感覚的に、10dB以上確保されていればよいのではないかなと思います。S/N比が小さいと、RSRPが強くても性能は悪化するよということで、この数値を眺めていればよいと思います。マイナスの値になったらNGと考えましょう。
ASU
続いて、下のグラフを見に行くと、ASU(Arbitrary Strength Unit)というのがあります。これは -140dBmの信号をゼロとしたときの、現在のRSRPの値です。つまり、このメーターの-140の位置が0だったとして、どれだけ針が右に振れているか、正の整数で表したものです。真ん中の数字と足し合わせると 140 になることがわかるでしょう。
このアプリでは -98dBm以上が緑のゲージになりますから、ASUでいうと42以上なら良好ということになります。正の整数だと直感的にわかりやすいということなのでしょうか?
ちなみに 3G では別の定義になるようです。ややこしいですが、値が大きいほうが良い、というのは一緒(当たり前ですが...)。
Band
大事な数字を忘れるところでした。右肩に表示されている Band。これ重要ですよね。よく回り込むプラチナバンド(700-900MHz帯)は、Band 8, 18, 19, 26, 28。次に周波数が高いのは 1.5GHz帯の Band 11, 21。そして、よく使われるのが 1.7-2.1GHz帯にかけての Band 3と Band 1。バンドの数字と周波数の高低がバラバラなので覚えにくいです。最近出てきたキャリアアグリゲーション向けのバンドは 41(2.5GHz帯)と42(3.5GHz帯)で、高速通信ができますが、その分、周波数の高いところが使われます。
メモとして、キャリアごとの Band を書いておきます。太字がプラチナバンドです。
出典はこちら。この手の情報はどんどん新しくなるから大変です。まとめサイト、助かります。
まとめ
というわけで、Network Cell Info Lite というアプリを紹介しました。このアプリ、実はLTEだけでなく、WiFi もきれいに表示してくれます。チャネルとか速度とかも出ますので、スマホに忍ばせておくと便利かも知れません。